オピニオン

トップページ > 病院のご案内 > 病院について > オピニオン > #14:救急医療について ~新病院の医療機能・その1

#14:救急医療について ~新病院の医療機能・その1 「救急センター」機能 ~

 この文章は平成17年4月に、病院広報誌第2号の巻頭言に書いた文章です。
 救急医療の大切さ、必要性、これをきちんとやっていくことの大変さと、新病院での救急医療の取り組みへの意気込み等について書きました。

救急医療について
~新病院の医療機能・その1 「救急センター」機能 ~

          院長 加藤奨一

 新病院で新たに提供していく医療機能は、

1.「救急センター」機能
2.「画像診断センター」機能
3.「癌治療センター」機能
4.「手術センター」機能
5.「循環器病・呼吸器病・糖尿病センター」機能

の5つに集約されますが、今回は「救急医療」についてお話しします。

 日本人、特に自称“インテリ”層が、日本の伝統・文化や日本人特有のものの考え方を全く捨て去って、なんでもかんでも欧米の真似をすればよしとする風潮はあまり好ましいものではありません。医療についても同じような傾向があり、「欧米のやり方が全てよし。」という進み方は日本の医療にはなじまないと医療現場ではよく感じます。しかし、こと「救急医療」について言えば、日本は欧米の真似をどんどんするべきだと思います。

 米国では「救急医療」は医療の中の最も大切な分野と考えられているのに対し、閉鎖的な医局制度や学術研究至上主義からスタートした日本の医療界では、救急医療を含めたプライマリ・ケア(初期治療)の大切さが長年忘れられていました。こうした欠点を是正するため、医学部卒業後2年間は医師に各科のプライマリ・ケアを修練させようと、昨年4月から「“新”臨床研修制度」が始まりました。現行の新制度には、新米医師でも「医師として診療に“責任”を持つ」という視点が欠けており、「“学生実習”の延長化」的色彩が強いという大きな問題もありますが、「医師である以上、救急医療も含めプライマリ・ケアについて一定レベル以上の技能は身につけるべき。」という考え方は正しいと思います。

 ただ、医師数も看護師数も十分でない日本では、「救急医療」は医療スタッフに過酷な労働を強い、肉体的・精神的に強いストレスを与えます。医師の「過労死」という問題も昨今では取り沙汰されています。医師不足、看護師不足の中で行われる「救急医療」は、個々の医療従事者が文字通り「寿命を縮めて」奉仕するという、個々人の“善意”に「おんぶにだっこ」で運営されていることがほとんどではないでしょうか。

 そんな環境の中でも、「地域医療」という使命感から、“新”友愛記念病院は救急医療の充実にチャレンジします。 救急手術室1室、処置室2室、診察室2室という、いわゆる“救急救命センター”に匹敵する充実した救急医療施設を作ります。

 医療従事者の労働環境も守りつつ、 24時間365日、地域住民の皆さんが安心して救急医療を受けられるような体制作りをしていきたいと思います。

バックナンバー

↑To TOP