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#53:地域医療構想

この文章は平成27年10月に発行された病院広報誌43号に書いた文章です。

地域医療構想

院長 加藤 奨一

皆さんは「地域医療構想」という言葉をご存じでしょうか?

平成26年の通常国会で「医療介護総合確保推進法Jという法律が成立し、平成27年4月より、各都道府県が「地域医療構想」を策定しなければならなくなりました。「地域医療構想」は、団塊の世代が後期高齢者となり、医療需要がピークを迎える2025年に向けて、病床の機能分化・連携を進めるために、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し、定めるもの、とされています。

現在の医療機関は「一般病床」(皆さんが普通に利用している病床)ばかり多くて、患者さんの病態に合わせた区分がされておらず、軽症の患者さんが重症患者さん用の病床に入院したりして“無駄に”医療費がかかるため、「高度急性期病床」「急性期病床」「回復期病床」「慢性期病床」と病床を区分し、患者さんの病態に合った病床で入院治療を行い、医療費の高騰を抑制しよう、というのが「地域医療構想」の意図です。同時に、全国の総病床数も20~30%削減しようとしています。

「病床があるから入院患者が発生し、医療費が増えるので、病床を減らし、必要最小限の入院しかできないようにし、入院できなく溢れた患者さんは“在宅”医療に回ってもらえば、医療費が削減できる。」と行政は考えています。

元々、病床の多い西日本の都道府県では40%もの病床削減を求められているところもあります。ちなみに、茨城県は20%の削減が目標のようです。

うちの職員でも、今まで何人も家族の介護のために離職した者がいます。“在宅、在宅”と言われでも、少子化、核家族した今の日本では現実問題としてかなり無理があるのではないでしょうか。
在宅への誘導という行政の方針で大変な被害を被っている国民も多いのでないでしょうか。なぜマスコミはこうしたことを報道しないのでしょうか。お上にたてつくと乾されてしまうことを恐れているのでしょうか。以前ある新聞社が厚労省の方針を批判するような記事を書いたら、その後記者クラブから閉め出され、その新聞社は医療関係の記事が書けなくなり、批判記事を書くことをやめたという話を聞きました。これが「民主主義国家」なのでしょうか。
私は厚労省に目をつけられでも、おかしなことはおかしい、と言い続けたいと思います。

皆さん、どう思われますか。

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