#45:緩和ケア研修会
この文章は平成25年10月に発行された病院広報誌35号に書いた文章です。
緩和ケア研修会
先日の土日の2日間、毎年9月に当院で開催している「緩和ケア研修会」に初めて受講者として参加しました。毎年この会の主催責任者は病院長の私なのですが、いつもこの時期には所用があり、自分自身が受講者として研修会に参加することができませんでした。やっと念願がかないました。
少し歴史を振り返ってみます。
平成18年6月、第164回通常国会において議員立法として超党派で提出されていた「がん対策基本法」が成立しました。民主党の山本孝史議員が参議院本会議で自らのがんを告白し、法案の早期成立を訴えたことを記憶にとどめておられる方も多いと思います。
日本人の死因で最も多いがん対策のため、国、地方自治体の責務を明確にし、基本的施策を挙げ、対策の推進に関する計画を策定することを義務づけた「法律」です。
基本的施策としては、がんの予防及び早期発見の推進(がんの予防の推進、がん検診の質の向上等)、がん医療の均てん化の促進(専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成、医療機関の整備、がん患者の療養生活の質の維持向上等)、研究の推進等、があります。
この法律に基づき、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため平成19年に「がん対策推進基本計画」が国で策定されました。これが各「都道府県がん対策推進計画」の基本となっています。その中で「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」ことが目標として掲げられ、平成20年から各都道府県の「地域がん診療拠点病院」で「緩和ケア研修会」が開催されることになりました。当院も平成19年から「地域がん診療拠点病院」に指定されていますので、毎年「緩和ケア研修会」を開催しています。当院緩和ケア科の宮崎医師や看護師、薬剤師で構成される「緩和ケアチーム」が中心になって研修会の運営にあたっています。
対象は医師、看護師、薬剤師です。今回は28人の参加がありました。緩和ケアの基本的な知識の習得から始まり、医師役、患者役、観察者役を交代で行う「ロールプレイ」による実践的トレーニングなどもあり、かなり内容の濃い2日間でした。
私は消化器がん治療を専門とし、もうじき丸30年経とうとしていますが、また再確認したことや、患者さん・ご家族への病状説明の時などに参考にできるコミュニケーション・スキルの研修などもあり、予想以上に充実した2日間を過ごしました。
「地域がん診療拠点病院」ではこうした医療従事者の教育もしていることを知っていただこうと思い、今回この講習会のことを紹介致しました。