部門紹介 -臨床工学科-

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臨床工学技士(Clinical Engineer)とは

日進月歩する現在の医療現場では高度化した医療機器が数多く使用されています。臨床工学技士は、「臨床工学技士法」に基づく医学と工学の両面を兼ね備えた国家資格で、医師の指示の下に、人工呼吸器装置、血液浄化装置、人工心肺装置などの生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う事を業とする専門医療職種です。近年の医療機器の目覚ましい進歩に伴い、医学的、工学的な知識を必要とする専門技術者としてチーム医療に貢献しています。

当院では現在3名の臨床工学技士が臨床工学科に所属しています。
また夜間/休日での緊急症例にもオンコール体制により迅速な対応を行っています。

業務内容

循環器業務

心臓カテーテル検査時には、検査・治療における計測データや使用材料を記録管理し、ポリグラフ、血管内超音波装置(IVUS)、体外式ペースメーカー、大動脈内バルーンパンピング装置(IABP)の操作を行っています。

人工呼吸器管理業務

人工呼吸器の日常点検をはじめ、定期点検、トラブル時の対応や毎日のラウンドを行い、呼吸状態のアセスメントや設定条件の検討を行っています。また、RST(Respiration Support Team)の一員として週1回の回診を行っています。

医療機器中央管理業務

MEセンターでは輸液ポンプ、シリンジポンプ、人工呼吸器などのME機器をバーコードとタッチパネルPCにて中央管理しています。医療機器が安全で安心して使用できるように定期点検や保守を行っています。

その他 業務

血液浄化業務・手術室業務・高気圧酸素業務など幅広い業務を行っています。

教育活動

輸液ポンプ、シリンジポンプを始め、人工呼吸器など様々な医療機器の勉強会を行っています。

院内活動

  • 安全管理推進室
  • 安全対策委員会
  • 医療器材委員会
  • 医療ガス安全管理委員会
  • 感染症対策委員会
  • DPC委員会
  • CS委員会
  • RST(医療の質検討委員会)

高気圧酸素療法【hyperbaric oxygen therapy:HBOT】

治療時間

月曜日~金曜日

①午前09:00~
②午前11:00~
③午後13:00~
④午後15:00~

土曜日

①午前09:00~
②午前11:00~

高気圧酸素治療装置

高気圧酸素治療装置には第1種と第2種装置があります。

第1種装置

患者1名をタンクに収容し、純酸素で加圧を行い、純酸素を直接吸入し治療を行う装置。

第2種装置

患者数名とスタッフを同時に大型タンクに収容し、空気で加圧を行い、マスクを介して患者のみ純酸素を吸入し治療を行う装置。

当院では第1種装置を用いて治療を行っています。(酸素加圧方式)

BARA-MED (小池メディカル社)
内径762mm 全長2600mm×全幅1020mm×全高1460mm

高気圧酸素治療とは

今、みなさんが生活している気圧は大気圧と呼ばれるもので1気圧と言い、その中で私たちは生活しています。高気圧酸素治療では専用の機械に入り、100%の酸素で2気圧(水深10mと同じくらいの圧力)まで加圧し体の中に生じた酸素不足の状態を改善する治療法です。私たちは呼吸をする事で酸素を吸入し、二酸化炭素を吐き出しています。呼吸によって吸い込まれた酸素は、血液中のヘモグロビンという酸素を運んでくれる組織と95%以上結合し全身に送られます。このヘモグロビンと結びついている酸素を「結合型酸素」と言います。体は100%の酸素を吸うことで、ヘモグロビンがほぼ100%酸素と結び付きます。しかし、ヘモグロビンの量以上の酸素を運ぶことは出来ないので、体全体、あるいは体の一部分に酸素が不足した状態になっても普段取り込んでいる量より多くの酸素を送り込むことは出来ません。

高気圧酸素治療では、高気圧下で酸素を吸うため、圧力に比例して体内の血液に酸素が溶け込みます。これを「溶解型酸素」といいます。溶解型酸素は高い圧力をかけることで直接血液中に酸素が溶けるので、赤血球の数に関係なく、血液中の酸素量を増やすことができます。溶解型酸素は結合型酸素よりも小さいので、末梢血管や毛細血管など細い血管まで酸素を運ぶことができ、あらゆる低酸素状態の改善を図ります。

治療効果

  1. 血流障害による組織の低酸素状態を改善
  2. 創傷治癒(きずの治り)を促進
  3. 滅菌作用
  4. 悪性腫瘍に対して行われる放射線治療の効果を高める
  5. 身体内のガスの容積を小さくする
  6. 減圧症での体内窒素ガスの排泄を促進

高気圧酸素治療の適応

高気圧酸素治療は、さまざまな疾患に適応されており、健康保険上では、次のように区分されております。治療効果については、個人差はありますが、治療を継続することでその効果は維持されます。

減圧症又は空気塞栓に対するもの

その他のもの

  • 急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む。)
  • 重症軟部組織感染症(ガス壊疽、壊死性筋膜炎)又は頭蓋内膿瘍
  • 急性末梢血管障害
    ・重症の熱傷又は凍傷
    ・広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害
    ・コンパートメント症候群又は圧挫症候群
  • 脳梗塞
  • 重症頭部外傷後若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫
  • 重症の低酸素脳症
  • 腸閉塞
  • 網膜動脈閉塞症
  • 突発性難聴
  • 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍
  • 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
  • 皮膚移植
  • 脊髄神経疾患
  • 骨髄炎又は放射線障害

高気圧酸素治療の流れ

  1. 専用の治療着(綿100%素材)に着替えます。
  2. 医師・看護師から症状の確認と所持品・衣類の点検、検査を行います。
    ◎治療前には必ずトイレを済ませて下さい。
  3. 高気圧酸素治療室へ移動します。
  4. 臨床工学技士より症状の確認、治療の説明、耳抜きの説明、衣類の点検、所持品検査を行います。(血圧計・心電計を取り付けさせて頂きます。)
  5. 治療装置内へ入り、治療を始めます。
    ※治療時間は大気圧から治療気圧に上げるため10~15分間、治療気圧60分間、治療気圧から大気圧へ戻すために10~15分間、合計で約1時間30分を要します。
  6. 治療終了後、血圧・心電図の確認と副作用(頭痛、歯痛、吐気、耳鳴り)がないことを確認します。

☆治療中は、患者さん自身にしていただくことは特にありません。装置の中で治療時間を過ごして頂くだけです。テレビを見て頂いても結構ですし、お休みなられても構いません。
☆治療中は、装置に備え付けのマイクで患者さんとコミュニケーションをとります。

治療中の様子

治療中はスタッフが1名付き添いますので、安心して下さい。
タンク内でも会話はできますし、テレビもご覧になることができますのでリラックスして治療できます。

治療中は高圧がかかるので、耳が痛くなることがあります。
山に登った時やトンネルに入ったときなどと同じような耳が遠くなるような現象が起きます。その際は耳抜きをしていただきます。
~耳抜き方法~
・唾を飲み込む。大きく口を開けてあくびをする。
・鼻つまんで、鼻をかむようにゆっくりと空気を送る

治療時間

治療時間は1回60分(2気圧時)で行っております。加圧、減圧の際にゆっくり行いますのでトータル80~90分程度の治療時間となります。
治療は通常1日1回、治療回数は5~7回、多いときは30回程度になります。
(適応疾患や患者さんの症状によって担当医が判断します。)

注意点

安全な治療を行うために、次のような所持品は持ち込めません。

  • 静電気の起きやすい衣類(綿100%素材以外のもの)
  • マッチ、ライター、たばこ などの火の気のもの
  • 白金カイロ、使い捨てカイロ などの熱を発生するもの
  • 補聴器、携帯ラジオ、音楽プレーヤー、携帯電話、万歩計などの電気製品
  • 腕時計、ポールペン、万年筆、体温計 などの密閉されたもの
  • メガネ、コンタクトレンズ、入れ歯、ネックレス、ピアス、指輪、ヘアピンなど
  • 雑誌、本などの可燃物
※整髪料・化粧品や油脂製品等を使用している場合は、治療を行う前に落として頂きます。


高気圧酸素治療は、通常の治療では人体への影響はありません。
ただし、次のような方は治療を受けることができないことがありますので、担当医にご相談下さい。また、治療技士にあらかじめお知らせ下さい。

  • 風邪を引いて耳抜きができないとき(鼻がつまったり、鼻水が出ているとき)
  • 耳や鼻に病気があるとき(中耳炎や蓄膿症、副鼻腔炎など)
  • おなかの具合が悪いとき(下痢など)
  • ペースメーカーを使用されているとき
  • 閉所恐怖症など、狭いところが苦手な方
  • 血圧が高くて気分が悪いとき
  • 妊娠中の方
  • 喘息発作中の方
  • 肺疾患のある方

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