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#51:地域包括ケアシステム

この文章は平成27年4月に発行された病院広報誌41号に書いた文章です。

地域包括ケアシステム

院長 加藤 奨一

先日ユーセンター総和で「在宅医療・介護の理解を深めるためのシンポジウム」という集会がありました。私は古河市医師会副会長という立場でこの集まりに出席しました。皆さんはもう『地域包括ケアシステム』という言葉をご存じでしょうか?厚生労働省のホームページに載っている解説を紹介します。

「日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。 65歳以上の人口は、現在3,000万人を超えており(約4人に1人)、2042年の約3,900万人でピークを迎え、その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。このような状況の中、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年(平成37年)以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれています。
このため、厚生労働省においては2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい、暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される『地域包括ケアシステム』の構築を実現していきます。今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、このシステムの構築が重要です。(中略)
『地域包括ケアシステム』は、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。市町村では、2025年に向けて、3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を通じて、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じた『地域包括ケアシステム』を構築していきます。」
※一部改編

つまり、「国民が可能な限り在宅医療・介護を受けられるような仕組みを医療機関、介護施設の協力を得ながら、市町村ごとに作りなさい」ということで、その仕組みを作る期限は2025年に先立つこと6年の2019年とされています。あと4年です。

在宅医療推進の裏返しとして当然、病院は今まで以上に「早期退院」の推進を求められ、人生最期の場所は現在9割くらいが病院ですが、これも介護施設や自宅へと誘導されていきます。「自宅では面倒を見切れない。もう少し入院させておいて欲しい」というご家族の要望にも病院は応えられなくなり、余命わずかな患者さんにも病院は退院を迫ることになります。全て「少子高齢化」による、社会保障費の財源不足に端を発した政策ですが、国民は本当にそれでいいのでしょうか?

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